クマの散歩を捉えた『となりのツキノワグマ』
昼間、ヒトが通る遊歩道に、ツキノワグマたちは毎晩のように出没、散歩しているらしい。ここを通る人々は、まさか、自分が今、歩いているココで夜中にクマが出没しているとは想像もしないだろう。でも、これは事実なのだ。
写真家の宮崎学さんの新刊本『となりのツキノワグマ』は、衝撃の写真集だ。独自に開発したセンサーカメラの自動撮影による、たくさんのクマの写真が惜しげもなく披露されている。
近年、全国各地で野生動物による被害が後を絶たない。サルやシカ、イノシシなどと同様に、ツキノワグマは、もはや絶命危惧種などではなく、確実にその数を増やしている。その“証拠写真”が、この本には満載だ。この本は、野生のクマの真実の姿を見せてくれる。また、自然保護と利用のあるべき姿も教えてくれる。クマと人間、双方にとってどうすることが幸せなのかを示唆してくれる。
この本を読んだら、アナタもきっとクマに対する認識が変わるだろう。
誰も考えつかない発想で研究装置を開発し、独自の調査をしている著者には、ただただ感服するばかりである。全編に渡り、著者のクマに対する愛情も感じられ、ユーモアが溢れる楽しい本だ。夏休みに親子でともに読む本としても、ぜひ、お奨めしたい一冊である。
宮崎 学 となりのツキノワグマ(新樹社)
by osanpocamera | 2010-07-29 07:20 | 自然