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世界のフジタ

世界のフジタ_d0021488_12374249.jpg竹橋の国立近代美術館で開かれている「藤田嗣治展」を観に行った。藤田嗣治の生誕120年を記念しての回顧展である。

東京美術学校(現・東京芸大)の卒業制作の自画像の作品に始まり、晩年の子どもをテーマにしたものや宗教画まで、数多くの作品が展示されていた。動き回る猫の姿を描いた『猫』の絵はあまりにも有名だが、生涯に描いた作品の多さ(6千点という)、そして、その見事さに圧倒された。大作の戦争画の前では、年配の方がじっと見られている姿が目立った。

明治19年生まれ。1968年(昭和43年)81歳で生涯を終えるが、その作品は、とても明治生まれの人が描いたものとは思えない、現代的な作品だ。特に晩年の頃描いた子どもをテーマにした作品は、平成の作品…と言ってもまったく違和感を感じないほど、作品には古さがない。

もし、いま生きていたら、きっと、あらゆるメディアに登場していただろう。「何でもアリ」の現代日本なら、奇抜なファッションや行動も、大衆には、きっと“大受け”したに違いない。生まれて来るのが、もう少し遅かったら良かったのに……と、惜しい気がする。

今回のこの回顧展の特集を、いくつものテレビ局が組んでいる。これだけもてはやすようになったことは、やっと、日本の美術界が彼に追いついたことの証しだと思う。

画業を目指す者なら、藤田作品を見ずして美術を語るなかれ……

せっかくのこの企画展を観ないのは大いに損だ…とまで言いたくなるほど、特別な展覧会であると言える。リピーターもきっと多いことだろう。

かくいうわたしも、期間中にはもう一度、観に行くつもりである。今回は会期2日目だったので混雑…というほどでもなかったが、会期後半にはゴッホ展の時のように、つづら折りに並んで待たなければならないかもしれないけれど。
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by osanpocamera | 2006-04-03 12:48 | 展覧会